SmartNewsの件を考えた結果、問題点は「表現」と「収入」と「著作権」だと思った

この記事はよく分からない人が書いている個人的な見解なので鵜呑みにしないようにして下さい。

問題点は「表現」と「収入」と「著作権」だと思った。

SmartNewsというスマートフォン向けのアプリが問題となっている。件のアプリは、起動すると朝・昼・晩の3回ニュースが配信される。このニュースは、各メディアが配信しているニュース記事の見出しと画像を、RSSもしくはスクレイピングによって抜き出して表示し、かつ、記事の内容まで表示するものである。この記事の表示の際に独自のレイアウトを行う。例えば記事の文章以外の要素(広告を含む)を排除していたり、複数ページにわたる記事の場合はつなげて1枚のページとして表示したりする。

このアプリケーションに対して、ある記者が『SmartNewsの スマートモードに全文転載されていて、とても悲しい気持ちになった。スマートモードはユーザーには便利だが、完全タダ乗り』というツイートを行った。そのツイートに呼応して様々な声が上がった。

自分としては、このアプリに関する問題点は「表現」と「収入」と「著作権」だと思った。

著作権

(追記:仮にスマートモードが「メディアからダウンロードしてサーバに一旦キャッシュ」するタイプの機能の場合。それではなく、各記事から直接ダウンロードする形式の場合は、この著作権項の主張は当たらない。この機能の詳細については未確認)

まず先に「著作権」の話をすると、侵害している可能性があるのは、メディアからダウンロードしてサーバに一旦キャッシュされる情報である。まず、これまでの判例から、複製の主体はサービス提供者側となるので私的複製にはあたらないと考えられる(複製権の侵害)。そのサーバから送信しているので、公衆送信権の侵害を行っている。ので、おそらくその点を追及されるとアウトなのだろうと思う。(プロキシのキャッシュに関して「送信障害の防止等のための複製(著作権法47条の5)」という条項があり、それが効いてくるのかどうか分からない、tubefire裁判で追いたかったが…)

この複製の問題は、アプリケーションが直接メディアからダウンロードする仕組みにすれば解決するのだと思う。若しくは、キャッシュしないプロキシサーバを作れば、問題ないと思う。他にはevernote(read it later)に蓄積してからダウンロードするとか。

表現

次に「表現」の問題について考える。

通常、メディアのニュースは多くの利用者にWebブラウザによって閲覧されることを期待する。WebブラウザはHTMLを解釈して、記事の内容を表示したり、広告を表示したりする。SmartNewsでは「記事文章以外の要素を廃」したり「広告を排除」したりした。これは問題となるか。同一性保持権や翻案権の侵害かもしれない。しかし、これは実装依存の問題だ。例えばWeb上の文章はテキストブラウザで見ても良いと思うし、広告を見たくなければ広告を表示しないようにするadblockプラグインを使っている。また、SmartNews以外にもRead it Laterなどのアプリケーションも、そうしている。

メディアからダウンロードしたデータをどのように見たいかは、利用者の好き勝手で決まり、アプリケーションは自由に選べても良いのではないか、と思う。もし、そのアプリケーションに対して問題があるのであれば、メディア側には表示させないという選択肢がある。もちろん、アプリ側もどうしても表示させようとしてくるし、それはイタチごっこになる。どうしても自由なアプリで表示させたくなければ、メディアがアプリを作るしかない。電子書籍のようなDRM世界に向かうしかないし、仕方ない。

(よくよく考えると公衆無線提供しているキャリアのプロキシさんで画像を縮小して送ることもあるので、その点は問題ない、かなーと考えるけれども、複製の主体がサービス運営側だと問題あるような気がするし、よくわからん)

収入

最後に「収入」について。

「表現」の問題において、自由なアプリによる閲覧(例えば、広告を排除して読みやすくするアプリによる閲覧)を認めると、広告による収入が入らなくなる。メディアとしては問題がある。どうする方法があるのか軽く考えてみた。

  • 有料配信する
    • メルマガタイプ
    • 月額タイプ
  • 自由なアプリと連携する
    • 広告収入を分け合う
  • Webで公開している記事は宣伝用と割り切る
  • バナー広告ではない方法で収入を得る
    • 広告記事
    • ステマ記事

この中のうち、「有料配信する」「自由なアプリと連携する」以外は受け入れがたい選択肢だと思う。「Webで公開している記事は宣伝用と割り切る」という選択しては既に「有料配信している」場合に有効だが、そうでなければ意味がない。(とはいっても、8割の記事を書いて、残りの2割の詳細は紙面で、という方法は割とうまくいく気がするのだが)

となると、自由なアプリと何らかの形で関係作っておいた方がよいと思うのだけれどもなー、と。

まとめ

個人的な見解としては、やり方を変えれば、問題ないと考えている。現状の問題点は、(追加:もし行われているのであれば、)サーバにおけるキャッシュによる複製で、それを発生させなければどうでもいい気がする。(たぶん、プロクシとは見なされないと思う、複製主体がサービス運営と見なされそうだから)

記事以外の要素を排除したり、広告を排除したりはアプリの自由だから適当にやってよいと思う。その代り、メディアが死んでしまっては問題なので、双方が共存できる方法を模索すべきだとも思う(広告を排除するアプリが広告を表示したら本末転倒だと思うけれどね)。

この記事はよく分からない人が書いている個人的な見解なので鵜呑みにしないようにして下さい。

JASRACと漫画と団結

最近、思想が変わってきている。

かなり前から、「全ての存在を認めて、よく考える」を心がけてきた。そして双方の立場を考えることをした結果、敵対していた企業を研究しすぎて逆に好意的になってしまうというミイラ状態になった。任天堂はバカにしていたし、アップルもバカにしてきたが、彼らを紹介する本を読み、行動原理を理解していくと、敵対心は消えていつのまにか肩入れしてしまう。

労働組合も、経営を邪魔する存在、ストライキを行って社会に害を与える存在として嫌っていたが、団結権の行使、弱者は団結しなければ強者に対して交渉できない、ということを感じるに従って、その認識を改めていった。

例えば、JASRACも悪の権化と嫌っていた。しかし、音楽家個人と放送局や音楽利用者が直接交渉することを想像すると、個人は負ける。そのために団結して組織を作ることで音楽家の利益を守ろうとしている。そして音楽家がJASRACの考えに同意できないのであれば『JASRACを使わない』という選択肢も残されている。皆がJASRACに反発し、JASRACを使わなければ、その役目は終わる。JASRACが存在していることで、音楽はJASRACを通じて利用料さえ払えば、音楽家や利用者が直接交渉することナシに、誰でも使える状況になっている。

よく出る漫画の二次利用の問題の話がある。漫画の二次利用をした著作物が出回っているが、一次著作の作者に金が回っていない、と。仮に、漫画の世界においてJASRACとなるような組織が存在していれば、管理団体を通して利用許可が出され、売り上げのうち数%を一次著作者が取ることが出来る。このような二次利用の世界では実費以上の収益を上げてはならない、との約束事があるようだが、管理団体が存在してルールが定められていれば、より多くの利益を上げても許される世界は存在したのではないか、と。

これは漫画の世界だけではなく、出版全般や映像、ゲーム(映画)についても、割とそう思っている。なぜ、そのような団体が出てこないのかは不勉強なので知らない。音楽と放送の関係が独特だからかもしれない。

ゼン録なんてものが持てはやされるのは悲しい

バッファロー、8日間分を番組録画できるHDDレコーダー「ゼン録」の機能を改善

「DVR-Z8」は、8チャンネル分を1日24時間で最大8日間分まで番組録画を自動で行なう「まるっと全録機能」(ゼン録)を搭載。過去8日間分までさかのぼり自動録画した番組を視聴できる。

このコンセプトはSPIDERが生み出したもので、テレビの未来、画面エンターテイメントの未来についての時に言及している。この機能が普及価格帯で発売されるに至り、テレビ番組などで紹介されたり、サイトで記事になっていたりで話題になっている。

このコンセプト自体はすばらしい。が、合理ではない。ネットワークの可能性に惹かれた身、「録画ネット事件」や「まねきTV事件」の裁判を追ってきた身からすれば、納得がいかない。
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TubeFireとその他の変換サイトの件について

TubeFireの件について、一ヶ月くらい経ってしまったが、そろそろ書いてみる。というのも、この過疎ブログへのアクセスは殆どがにこさうんど、nicomimiとnico3gpの著作権問題の記事に対してなので、この方面の話の方が楽しいのかな、と。

注意:この記事は著作権妄想者が書いており、保証できないので関わる人は弁護士さんに相談してくださいな。

TubeFireというサービスがレコード会社に訴えられた件については、YouTubeのビデオダウンロードサービス, 日本のTubeFireが世界のレコード会社から訴訟あたりの記事が伝えている。これが今年の8月26日時点の記事。

今日のターゲットは、TubeFireだ。この特定のサイトをご存じない方も、これと同種のサービスやツールは、きっとどれかをご存じだろう。YouTubeのビデオを、オフラインで見やすい形式に変換してダウンロードさせてくれるのだ(FLVファイルは扱いにくい)。ユーザがビデオのURLを教えると、しばらくしてそれを、MP4などのフォーマットでダウンロードできるようになる。こうやって、無料のコンテンツを別の容器に入れることは、レコード業界にとって重大な脅威だから、なんとしても止めさせなければならない。そこで世界の大手レコード会社25社が、共同で同社を訴えた。

このサービスの構図は、冒頭に参照したにこさうんど、nicomimiとnico3gpの著作権問題と同一で、「複製しているか否か」「私的な複製と見なせるかどうかか」「公衆送信権を侵害しているか否か」であると考えられる。

まず、このうち複製でないと判断された場合、残りの2つは複製の上での話なので関係なくなる。TubeFireはおそらく、サーバ上にコピーを持っていたのだから、複製はしていたはずなので、残りの2つについて考える。

私的な複製と見なせるかどうかだが、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」に見えるので、これは当てはまらない。

「公衆送信権」を侵害しているかどうかだが、不特定多数への送信を行っているようなので、侵害しているように見える。

よって、今までの知財高裁の判例から判断すると、TubeFireは著作権を侵害しているということになる。

それではなぜTubeFireが訴えられたのか?

ここからは実際に確認していないので妄想なのだが、Youtubeには権利者に許可を取っていない動画、PVがたくさんある。これが直接の訴えの元にはなっていないはずだと考えている。

Youtubeにはレコード会社自身がチャネルを持ち、動画をアップロードしている。その動画を変換して、公衆送信できる仕組みをTubeFireが持っていたため、今回の裁判になったのではないか、と。

前述の記事でも書いたが、著作権侵害を訴えるには、著作権者である必要があるのだが、権利者ではないユーザーがアップロードした動画に関しては、裁判上の取り扱いが面倒というか難しくなるような気がする。その場合、まず訴えるべきはアップロードしたユーザーであるからだ。

詳しく書くと、権利者の作品をユーザーがアップロードした。その違法作品はYoutubeではストリーミングしかされないから、ある程度、お目こぼしされている。もちろんアップロードしたユーザーは違法。しかし、TubeFireがその作品を一旦ダウンロードして、自身のサーバで配布した場合、どうなるのか。うーん、ややこしい。

そういう話が出てくる場合、既にYoutubeそのものが汚染されてるんだから、Youtube訴えろよ、という気になってしまう。つまり、訴える順番、優先度としては違法ユーザー、Youtube(違法ユーザーを野放しにしすぎ)、TubeFire(違法ダウンロードを野放しにしすぎ)のような。こういう場合、潰せるところから潰したほうが手っ取り早い。別件で。

そういう話を考えると、今回、訴えるにあたって、レーベル自身がアップロードしている動画を複製して自身のサーバから公衆送信した、という話の方がシンプルで通りやすいように見えるのだ。

ならば、公式チャネルの動画を変換できるようにしなければ、大丈夫だったのか?という疑問があるのだが、それについては明確に答えることはできない。だが、いくつかヒントはあると考えている。

訴えた元が「世界の大手レコード会社25社」ということになっているのだが、Youtubeの公式チャンネルはそれだけの数があるのだろうか。公式チャンネルで配信している以外のレコード会社が参加しているとすれば、公式チャンネル理論は崩れる。

たまたま見つけたが、「にこさうんど」はtwitterで以下のように書いている。

「原盤使用許諾楽曲」等関連タグが付与されている動画からの音声抽出は規制させて頂いております。 その他機械的な識別は困難な為、前述のような集合知による判定を行っております。
http://twitter.com/#!/ufreyr_ns/status/112595289906479104

これはすなわち、明確に著作権者(≒公式チャンネル)であることが分かるものについては、手を出さない、ということではなかろうか。

兆候
実は「動画サイトの利用実態調査検討委員会」報告書公表 ~国民の70%が動画サイトを利用、音楽ファイル違法ダウンロード年間12億~という発表が日本レコード協会によって8月8
日に行われており、p16において、音楽の無料ダウンロードに使われるツールとして、無料サイトA,B,C…などが列挙されている。つまり、どこが一番影響が強いのかを調べている。このうち、訴えやすい所から訴えているのではないか、と。後から思った。

この調査結果を裁判で提出すれば、統計的な証拠となり、仮にサイト内でダウンロード数が表記されなくとも、ダウンロード回数を導出する手がかりとなろう。上手い手法である。

以前の記事の反省
以前の記事では、「にこさうんど」「nicomimi」が著作権問題を抱えており、「裁判沙汰になりそうな雰囲気」だとしたが、実際にはそうならなかった。件の記事は2009年8月28日であり、そのときから丸2年が経った。

この2つのサイトは今でも残っている。2年前に著作権侵害幇助と判断されるような事件がありながらも残っているということは、ある程度は、権利者にも認められたという証左なのだろう。レコード協会の「無料サイト」利用度のランキングに入ってきているとは思うのだが、そのような動きが現時点で見られないということは、今は、問題としない決定がされているのだろう。

ニコニコ動画の規約うんぬんの話もあったが、ニコニコ動画がアクセス禁止措置を行っていないということは、その存在を認めていることになるのではないだろうか。mp3だけにアクセスしたユーザーは、別サービスがさばいてくれるので回線使用料が小さくなる。かつ、手っ取り早く、iPhoneなどの携帯プレイヤーとも連携できる手段を持てる。ニコニコ動画自身がダウンロードを提供するわけではないので、上手くかわすことができる。

また、この2つのサイトはnoarchiveというタグを投稿者が設定すれば、複製を認めないという仕組みを導入している。Webにおけるnorobotと同じように投稿者が概ね、認知するようになれば、侵害の問題は薄くなる。そうなってくると、このような変換サイトも、この日本という地で、生きる道・方法があるのだなぁ、と。

感心している。

予感としては、「TubeFire」が裁判に負け(まだ決まっていはないが)ても「にこさうんど」「nicomimi」が生きるのであれば、この手のサービスはまた、色々出てくるのではないのかな、と考えている。そうなると、処理能力の弱い携帯プレイヤーにとっては、便利であり続けるのではないのかな、と。

まとめ

「TubeFire」は変換してはいけないものを変換してしまったのではないか。それは公式チャンネル。で、虎の尾を踏まなければ「にこさうんど」「nicomimi」って割と生きるんじゃないのかな、と。いや、知らんけど。

# コンビニコピー違法化、私的クラウド補償金については、元記事の理解が難しいので分かりやすい材料が揃ったら書く

中古販売とDRMに関する愚痴

音楽CDの中古販売は行われている。リッピングしたあとに中古店舗に売却しても、リッピングされたかどうかは分からない。そのため、中古で買い、中古として売る手法でも、中のデータは手に入る状況。著作権者に収入は入らず。レンタルCDはJASRACが徴収。実際にどの程度の金額が分配されているのかは不可解・不明瞭だが、著作権者に少なくとも収入は入る。

よって中古CDの流通は著作権者に収入をもたらさないので、新品CDの価格に中古流通分の差額を上乗せしているはず。新品CDを買っている人は、中古CDを買う人・売る人の分の差額を余分に支払っている状況。レンタルは徴収されているので安くできるが、安くなっているのかについては議論の余地あり。少なくとも多くの人はレンタルを利用しているような気がする。

結論としては、新品CDを買う人間は、割と高い買い物をしている。単なる所有者になりたい場合は、中古CDの価格が妥当な価格。この状況を打開するために、中古販売において権利者に資金が流れる仕組み作りが行われようとした(ような気がする)が、実らず。

レンタルはエコ(笑)。

新品が安くて、中古が高い(著作権者にお金が流れる)、中古屋は廃れる、レンタルよりも買う方が良いという価値観、そういう世界。
新品が高くて、中古が安い(著作権者にお金が流れない)、中古屋は栄える、買うよりもレンタルする方が良いという価値観、そういう世界。

前者の世界は、買ったものをずっと所有していても損はしない。後者の世界は、買った物はすぐに売らないと、損をする。むしろ、買ったらいけない、レンタルで回る世界。

双方の世界の中で、電子書籍、ダウンロード音楽データについて考える。DRM。流通の制御。中古を生み出させない。複製をさせない。著作権者側のデータの複製はいくらでも出来る。だから、中古流通しない分、新品価格に反映されるというのであれば、販売価格は安くできる。後者の世界であれば、なおさら。印刷コストと電子データ作成コストがトントンだとして。

電子データ販売はもっとエコ(笑)。

だけれども、安くならなかった。そういう世界。

複製に関するこまごまとしたこと

(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の三  プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2  前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。

プログラムのバックアップは認められる。が、滅失以外の事由により所有権を有しなくなった後には、その他の複製物を保存してはならない。

例えば、あるソフト(事務ソフト、もしくはゲームソフト)のバックアップを作成して、そのソフトの売却や譲渡を行った場合には、その複製物も削除を行わなければならない。この条項はプログラムに限り。

音楽CDや書籍については問われない。一般には、音楽CDの丸ごとコピーの後に譲渡や売却は行われていると考えられる。音楽CDの複製後の譲渡・販売行為については立法時点では想定外。立法理念に沿うと、おそらくは、違法にしたい。

原本を持っている状態での、自炊した電子書籍・もしくはリッピングした音楽データの知人へのインターネットを介した提供も小規模であればOK。私的複製であり、かつ公衆送信にあたらず。原本効果。

裁断本の売買・譲渡は、著作権法には記述されず。「第四十七条の三」はプログラムに限られるので、書籍には及ばない。裁断後に部屋が狭くなるから裁断したものを滅失・売買・譲渡したとしても問題ない。ただし、複製時点で、売買・譲渡する気マンマンだったことがもう見るからに明らかだった場合、私的複製に当たらず侵害あるかも。滅失すれば問題ない。

まねきTV事件の最高裁差し戻しについての答え合わせ

今年最後の大物著作権裁判として昨年の12月頃に記事を書いたが、本日、結果が出たようである。

その記事では当時は、

どうやら送信可能化権の侵害を行っているかどうかを争点にしているような気がする。次点としては複製の主体はサービス運営者である、との主張か。

と予想していたようだ。

さて、答え合わせ。

答え合わせ

判決文PDF注意。

まずは、自動公衆送信について。4ページ目。

自動公衆送信は,公衆送信の一態様であり(同項9号の4),公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。

お、おう。自動公衆送信装置である、と。つまり、インターネット=公衆の用に供されている電気通信回線であり、あて先が単一の機器であっても、自動公衆送信装置である、と。追記「インターネット=公衆の用に供されている電気通信回線」の概念は調べてみると一般認識だそうな追記おわり

こ、これは、著作物のインターネット転送サービスに多大に影響が出るのでは?次世代DLNAの家庭同士で音楽のやり取りなんかは著作物は禁止、出先で自分のサーバから音楽をストリーミングしての視聴も禁止さね。複製は許されても自動公衆送信は許されないんちゃうかな。

この時点で自動公衆送信しているので公衆送信権の侵害。問題は誰が侵害行為の主体か。5ページ目。

自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することがで
きる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。

その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当」。おおう!

おう!おう!おう!おう!おう!自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者が主体か。この作り出す行為については微妙なのだけれども、どうも、まねきTV側がベースステーション(送信機)のアンテナへの接続と設定の肩代わりをしていたらしく、その行為が送信行為の主体性を持っている、と判断されたらしい。つまり、これは送信可能化権の侵害ということかいな。

原審との違い

簡単には、イカ以下のとおり。

知財高裁:ロケーションフリーテレビは1対1の通信なのだから自動公衆送信装置ではない。よって送信可能化にはあたらず。だから主体は誰であっても構わない。

最高裁裁定:単一の機器に送信しようとも(追記不特定の者とサービス契約が可能な状態で追記おわり)公衆回線に接続したら自動公衆送信装置である。よって公衆送信権の侵害である。ついでに送信可能化権の侵害をしている。主体は業者。

個人的な予想では、「複製主体=業者」だと思っていたが「公衆送信主体=業者」という決着だった。追記今回のポイントは、ロケーションフリーの存在自体については問わないが、本件では業者が不特定多数と契約可能である点から自動公衆送信に当たると判断されたこと。業者ピンポイント狙い。追記おわり

おさらい

公衆送信権は、(無線)放送、有線放送(CATV)、自動公衆送信(インターネット)、その他の公衆送信(FAXなど)に分けられる。同一構内の送信であれば、公衆送信にあらず。

このうち、自動公衆送信は高裁判例によって1対1であれば公衆送信と判断されてこなかったが、今回の判決で(ユーザーが用意した機器でかつ)1対1であっても公衆送信であると判断された。追記それは、業者が不特定の利用者と契約できる状態にあったので、公衆への送信とみなされた追記終わり

で、実際に公衆送信がされなかった場合にも対処できるように、公衆送信可能な状態にする行為については送信可能化権として別途定められている(平成9年)。今回の事例では、例え、用意したロケーションフリーテレビが利用されなかった(実際に公衆送信されなかった)としても、いつでも送信可能な状態になっていれば、送信可能化権の侵害である。

かつ、その送信可能にした主体は利用者ではなく、業者である。たとえ、利用者が自宅でロケーションフリーテレビを利用したとしても、利用者自身が自動公衆送信をしているので、著作権者の権利を侵害しているとみなせる。

現行のロケーションフリーテレビの利用者は…著作権を侵害している…ということである。追記侵害していないっぽい。

で、アナログ放送が終了する時期にこの差し戻しを持ってきたということは、何かに配慮しちゃったんじゃないの?と思えてくる。ロケーションフリーテレビは既に発売中止しているし、アナログ放送は停波されるので、損害はそれほど大きくはないでしょ、ということで。

という判断がされたと思うのだがどうなのだろうか。自分は法律には詳しくはないので、正しくは、この事例がキチンと分かっている人(弁護士?弁理士?)の記事を見ると良いと思う。

判決の影響

あと認識が正しければ、自宅のサーバから他人の著作物のデータ(音楽・ビデオ)を手元の端末にインターネットを介して呼び出すのは、公衆送信権の侵害になるはず。3G回線を通してiPhoneでAirVideoなどを利用して他人の著作物(自分が作成したものではない著作物)の音楽や映像を自宅サーバからストリーミングして見ることは侵害行為になるのではなかろうか。追記どうやら当たらないようだ。

これについても詳しく知りたい。

追記

誰でも番組を見る契約を結ぶことができる以上、 不特定多数に番組を放送していると認められる

というニュース文面があったので、調べる。

そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。

サービスの提供者に対して、誰でも契約をすることができるので、その点において不特定の者であるとされ、自動公衆送信である、とのこと。

よって、ロケーションフリーテレビも、自宅サーバから手元に著作物を送信する行為は、侵害行為に当たらなそうだ。問題になるのは、業者が不特定の者と契約する点。ロケーションフリーテレビのケースも、自宅サーバのケースも、自分だけしか利用しないので不特定の者ではない。

すなわち、業者が行う転送サービスはアウト、というのが今回の主旨かと。

ちなみにプロキシサービスについてはどうなの?という方は改正ほやほやの第四十七条の五あたりをどうぞ。