TubeFireとその他の変換サイトの件について

TubeFireの件について、一ヶ月くらい経ってしまったが、そろそろ書いてみる。というのも、この過疎ブログへのアクセスは殆どがにこさうんど、nicomimiとnico3gpの著作権問題の記事に対してなので、この方面の話の方が楽しいのかな、と。

注意:この記事は著作権妄想者が書いており、保証できないので関わる人は弁護士さんに相談してくださいな。

TubeFireというサービスがレコード会社に訴えられた件については、YouTubeのビデオダウンロードサービス, 日本のTubeFireが世界のレコード会社から訴訟あたりの記事が伝えている。これが今年の8月26日時点の記事。

今日のターゲットは、TubeFireだ。この特定のサイトをご存じない方も、これと同種のサービスやツールは、きっとどれかをご存じだろう。YouTubeのビデオを、オフラインで見やすい形式に変換してダウンロードさせてくれるのだ(FLVファイルは扱いにくい)。ユーザがビデオのURLを教えると、しばらくしてそれを、MP4などのフォーマットでダウンロードできるようになる。こうやって、無料のコンテンツを別の容器に入れることは、レコード業界にとって重大な脅威だから、なんとしても止めさせなければならない。そこで世界の大手レコード会社25社が、共同で同社を訴えた。

このサービスの構図は、冒頭に参照したにこさうんど、nicomimiとnico3gpの著作権問題と同一で、「複製しているか否か」「私的な複製と見なせるかどうかか」「公衆送信権を侵害しているか否か」であると考えられる。

まず、このうち複製でないと判断された場合、残りの2つは複製の上での話なので関係なくなる。TubeFireはおそらく、サーバ上にコピーを持っていたのだから、複製はしていたはずなので、残りの2つについて考える。

私的な複製と見なせるかどうかだが、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」に見えるので、これは当てはまらない。

「公衆送信権」を侵害しているかどうかだが、不特定多数への送信を行っているようなので、侵害しているように見える。

よって、今までの知財高裁の判例から判断すると、TubeFireは著作権を侵害しているということになる。

それではなぜTubeFireが訴えられたのか?

ここからは実際に確認していないので妄想なのだが、Youtubeには権利者に許可を取っていない動画、PVがたくさんある。これが直接の訴えの元にはなっていないはずだと考えている。

Youtubeにはレコード会社自身がチャネルを持ち、動画をアップロードしている。その動画を変換して、公衆送信できる仕組みをTubeFireが持っていたため、今回の裁判になったのではないか、と。

前述の記事でも書いたが、著作権侵害を訴えるには、著作権者である必要があるのだが、権利者ではないユーザーがアップロードした動画に関しては、裁判上の取り扱いが面倒というか難しくなるような気がする。その場合、まず訴えるべきはアップロードしたユーザーであるからだ。

詳しく書くと、権利者の作品をユーザーがアップロードした。その違法作品はYoutubeではストリーミングしかされないから、ある程度、お目こぼしされている。もちろんアップロードしたユーザーは違法。しかし、TubeFireがその作品を一旦ダウンロードして、自身のサーバで配布した場合、どうなるのか。うーん、ややこしい。

そういう話が出てくる場合、既にYoutubeそのものが汚染されてるんだから、Youtube訴えろよ、という気になってしまう。つまり、訴える順番、優先度としては違法ユーザー、Youtube(違法ユーザーを野放しにしすぎ)、TubeFire(違法ダウンロードを野放しにしすぎ)のような。こういう場合、潰せるところから潰したほうが手っ取り早い。別件で。

そういう話を考えると、今回、訴えるにあたって、レーベル自身がアップロードしている動画を複製して自身のサーバから公衆送信した、という話の方がシンプルで通りやすいように見えるのだ。

ならば、公式チャネルの動画を変換できるようにしなければ、大丈夫だったのか?という疑問があるのだが、それについては明確に答えることはできない。だが、いくつかヒントはあると考えている。

訴えた元が「世界の大手レコード会社25社」ということになっているのだが、Youtubeの公式チャンネルはそれだけの数があるのだろうか。公式チャンネルで配信している以外のレコード会社が参加しているとすれば、公式チャンネル理論は崩れる。

たまたま見つけたが、「にこさうんど」はtwitterで以下のように書いている。

「原盤使用許諾楽曲」等関連タグが付与されている動画からの音声抽出は規制させて頂いております。 その他機械的な識別は困難な為、前述のような集合知による判定を行っております。
http://twitter.com/#!/ufreyr_ns/status/112595289906479104

これはすなわち、明確に著作権者(≒公式チャンネル)であることが分かるものについては、手を出さない、ということではなかろうか。

兆候
実は「動画サイトの利用実態調査検討委員会」報告書公表 ~国民の70%が動画サイトを利用、音楽ファイル違法ダウンロード年間12億~という発表が日本レコード協会によって8月8
日に行われており、p16において、音楽の無料ダウンロードに使われるツールとして、無料サイトA,B,C…などが列挙されている。つまり、どこが一番影響が強いのかを調べている。このうち、訴えやすい所から訴えているのではないか、と。後から思った。

この調査結果を裁判で提出すれば、統計的な証拠となり、仮にサイト内でダウンロード数が表記されなくとも、ダウンロード回数を導出する手がかりとなろう。上手い手法である。

以前の記事の反省
以前の記事では、「にこさうんど」「nicomimi」が著作権問題を抱えており、「裁判沙汰になりそうな雰囲気」だとしたが、実際にはそうならなかった。件の記事は2009年8月28日であり、そのときから丸2年が経った。

この2つのサイトは今でも残っている。2年前に著作権侵害幇助と判断されるような事件がありながらも残っているということは、ある程度は、権利者にも認められたという証左なのだろう。レコード協会の「無料サイト」利用度のランキングに入ってきているとは思うのだが、そのような動きが現時点で見られないということは、今は、問題としない決定がされているのだろう。

ニコニコ動画の規約うんぬんの話もあったが、ニコニコ動画がアクセス禁止措置を行っていないということは、その存在を認めていることになるのではないだろうか。mp3だけにアクセスしたユーザーは、別サービスがさばいてくれるので回線使用料が小さくなる。かつ、手っ取り早く、iPhoneなどの携帯プレイヤーとも連携できる手段を持てる。ニコニコ動画自身がダウンロードを提供するわけではないので、上手くかわすことができる。

また、この2つのサイトはnoarchiveというタグを投稿者が設定すれば、複製を認めないという仕組みを導入している。Webにおけるnorobotと同じように投稿者が概ね、認知するようになれば、侵害の問題は薄くなる。そうなってくると、このような変換サイトも、この日本という地で、生きる道・方法があるのだなぁ、と。

感心している。

予感としては、「TubeFire」が裁判に負け(まだ決まっていはないが)ても「にこさうんど」「nicomimi」が生きるのであれば、この手のサービスはまた、色々出てくるのではないのかな、と考えている。そうなると、処理能力の弱い携帯プレイヤーにとっては、便利であり続けるのではないのかな、と。

まとめ

「TubeFire」は変換してはいけないものを変換してしまったのではないか。それは公式チャンネル。で、虎の尾を踏まなければ「にこさうんど」「nicomimi」って割と生きるんじゃないのかな、と。いや、知らんけど。

# コンビニコピー違法化、私的クラウド補償金については、元記事の理解が難しいので分かりやすい材料が揃ったら書く

カテゴリー: 著作権 パーマリンク

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